飲食店トラブルQ&A

短時間勤務社員にも1時間の休憩?
Q
所定労働時間が1日8時間(休憩時間が1時間)と就業規則に定めてある場合、
育児短時間勤務で所定労働時間を1日6時間に短縮している社員にも、1時間の休憩を与えなければならないのでしょうか?

A
短時間勤務社員の所定労働時間は、6時間 ですので、法的には休憩を与える必要は ありません。
然し、社員就業規則で休憩を 「1時間」としている以上、短時間勤務の社員についても、1時間の休憩を与える必要があります。
フルタイムでない短時間勤務社員の場合については、1時間ではなく、
もっと短い時間の休憩時間を付与することを検討してもよいかと思います。
所定労働時間が6時間ちょうどであれば、そもそも休憩が必要で ないため、
休憩時間を自由に設定できますが、実際の労働時間が6時間を1分でも超えると、
休憩時間を 45 分与えていないと法違反となってしまうことから、
45分の休憩時間としておくのが無難のようにも考えられます。
一方で、育児による短時間勤務の場合は、決まった時間に帰らなければならない、
また、残業も見込まれない(できない)ということも多いことから、
6時間勤務であれば、休憩を15分から30分程度(あるいはなし)とし、
万が一、残業することになった場合には、残業に入る前に45分に不足している時間、休憩を与えてから、
残業に入ってもらうという方法もあります。
いずれにしても、上記のように、労働時間によって休憩時間を変更するのであれば、
その旨就業規則等に定めることが必要です。

Q
当社では、お客さんがこない待機時間中を、「待機中は休憩も自由であり、労働時間には該当しない」として
賃金を払っていませんが、問題はあるのでしょうか?

A
会社が賃金を支払わなかったトラックドライバーの待機時間 (手待ち時間)について争われた訴訟で、
「荷物管理を要求 されて移動や連絡待ちもあり、休憩時間と評価するのは 相当でない」として、
労働時間に該当するとする判決が出ました(平成26年4月24日横浜地裁相模原支部)。
会社側は、「待機中は休憩も自由であり、労働時間には 該当しない」と主張していましたが、
裁判所はこれを認めず、従業員・元従業員計4人に対する未払い賃金約4,289万円と、
これと同額の付加金の支払いを会社に命じました(その後和解により解決)。
実務上は、待機時間以外にも、深夜勤務の場合の仮眠時間や昼休みの電話当番の時間などが、
労働時間になるのか休憩時間になるのかが度々問題になります。
厚生労働省の通達では、「休憩時間は、(単に作業に従事しない手待ち時間等を含まず)、
労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、
その他の拘束時間は、労働時間として取扱うこと」とされています。
特定の時間帯が労働時間に該当するか休憩時間に該当するかについて、
飲食業界等では曖昧になっているケースも少なくなく、非常にトラブルが生じやすい問題です。
従って、「労働時間に該当する時間」、「休憩時間に該当する時間」を社内ではっきりさせておき、
労使双方が納得したうえで規定化しておくことがトラブルを防止するための1つのポイントと言えるでしょう。

Q
パート社員にも退職金を支給するの?
:当社は「退職金有り」の会社ですが、パート社員には退職金を支払っていません。
最近、あるパート社員から退職金の支給要請があったのですが、パート社員にも退職金を支給しなければならないでしょうか?

A
「退職金有り」の会社で、パート社員にも退職金を支払うべき か否かは、
会社の退職金規程等の規定内容などによります。
従って、規程等の規定の仕方次第ではパート社員にも 退職金を支払わざるを得なくなる可能性が出てきますので、注意が必要です。 具体的には、以下の2点に注意して退職金規定等をチェックする必要があります。
第一に、「退職金規定が正規社員と非正規社員とで区別しているか」です。
①退職金を正社員と非正規社員とで異なる処遇をする場合には、「退職金は別の取扱いをする」という規定をするか、
②個別に非正規社員独自の就業規則等を作成する必要があります。
従って、就業規則が正社員と非正社員とで同一で、その中の退職金に関わる規定が両者を区別していない場合には、
非正規社員に対しても正社員と同様の支給基準で退職金を支給する義務が出て来る可能性があります
(大興設備開発事件・大阪高判平9・10・30)。
第二に、「有期契約社員と無期契約社員で不合理な差別がされていないか」です。
改正労契法20条(平成25年4月1日施行)では、有期契約社員と無期契約社員との労働条件について、
不合理な差別をすることを禁じています。
従って、合理的な理由が無いのに、無期契約社員のみに退職金を支給したり、
両者の間に著しい金額 格差があるときなどは不合理な差別として同条違反となる可能性が出てきます。
そして、仮に法違反とされた場合には、その差別規定は無効とされ、
有期契約社員にも無期契約社員と 同様の基準にしたがって退職金を支払わざるを得なくなる可能性もありますので、ご注意下さい。

Q
社会保険の被扶養者認定基準は税金と違うの?
被扶養者の認定は、税金の所得税控除に係る被扶養者認定と基準が違うそうですが、具体的にはどのようになっているのですか?

A
社会保険では、一定の範囲の扶養親族について、被扶養者として 取り扱うことになっています。
この被扶養者として認められる者は、何親等か、同居かどうか、 収入額といった複数の要素で判断されます。
①被扶養者として認められる者
・年間収入が130万円未満で、かつ、被保険者の年収の2分の1未満であること
・別居の場合は、年間収入が130万円未満で、かつ、被保険者からの仕送り額より少ないこと
このうち、特に実務上の判断基準として収入額をどのように判断すればよいか迷うことがありますが、
これに関する基準は以下の通り決められています。
(イ)年間収入とは
 過去における収入のことではなく、扶養の事実が発生した日以降の年間の見込み額のことをいう。
(ロ)収入の種類による判断方法
・月給・日給・時給の場合などの1ヶ月あたりの金額130万円を12ヶ月で除した金額(月額108,333円以下)
・雇用保険の失業等給付などの1日あたりの金額130万円を360日で除した金額(日額 3,611円以下)
・健康保険の傷病手当金などの1日あたりの金額130万円を360日で除した金額(日額3,611円以下)
所得税の扶養親族が1月から12月まで支払われた実績の額で控除対象の扶養親族か否かが判断されることと比較すること
とは大きな違いがあります。
また、雇用保険の失業等給付を受給する場合に、待機期間や給付制限期間がある場合には、
1日あたりの金額で判断され、その期間は収入がないとされます。
なお、上記のうち、被扶養者の年齢が60歳以上または障害者の場合の年間収入は
130万円を180万円と考えることになっています。